『サピエンス全史』等を著した世界的な歴史家であるユヴァル・ノア・ハラリ氏がTIME誌に寄稿し、その後日本語訳された記事を図解したので、公開します。新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、かつてない危機に見舞われる大変な状況下ですが、ハラリ氏のメッセージを少しでも多くの人に届けられたらと思い、制作しました。

※本図解は2020年3月に作成されました

ここから図解です。

図解の表紙。2020年3月15日の TIME 誌記事「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか ―― 今こそグローバルな信頼と団結を」ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳。
隔離ではなく協力、と対比した図。左の「隔離」は壁を築き、移動を制限し、貿易を減らすこと。右の「協力」は信頼に基づいたグローバルな団結。協力することが感染症の大流行への本当の対抗手段だと結ぶ。
過去に起こった大規模な感染症被害の表。黒死病は14世紀に7500万から2億人、天然痘は1520年に全人口の3分の1、インフルエンザは1918年に数千万から1億人が亡くなった。
20世紀から感染症による死者が減った理由。1918年からの100年で影響が劇的に減ったのは、医療が発達して感染流行の原因を突き止め、予防接種や抗生物質、衛生状態の改善、医療インフラが整えられたから。
歴史が教えてくれる2つのこと。1つは隔離による安全確保は不可能なこと、もう1つは科学とグローバルな協力が必要なこと。
隔離では安全を確保できない理由。人口も交通も少なかった中世でさえ感染症は急速に広まっていた。人口も交通も多い現代では、たとえ中世の水準まで隔離しても足りず、本当に隔離するなら石器時代まで戻る必要がある。
科学とグローバルな協力が必要だという図。感染症が大流行した国は、感染爆発についての情報を包み隠さず開示するべき。他の国々は、その情報を信頼し、その国を排斥せず自発的に救いの手を差し伸べる。
国際協力に必要なのは国家間の信頼だという図。短期的には隔離と封鎖が欠かせないが、それらは経済の崩壊を招きかねないので、他国が援助してくれるという期待がないと踏み切れない。
感染症が広がる流れを3段階で示した図。1、動物が感染しウイルスを媒介する。2、人間に感染し、体内で変異を繰り返して感染力を強める。3、人間に適応し急速に広まる。局所的な拡大が全人類を危険にさらす。
天然痘とエボラ出血熱を、感染が広がる3段階の上に並べた図。天然痘はすべての国のすべての人が予防接種を受けたことで、人間に適応する前の2段目で止められた。エボラ出血熱はある一人の感染者の中で変異株が生まれ、感染性が4倍に高まって3段目まで進んだ。
人間の世界とウイルスの領域との境界を守る必要がある、という図。地球上には常に無数のウイルスがひしめき、誰か一人でも危険なウイルスに感染すれば全人類が危険にさらされる。しかし、ウイルスとの間に設けるべき境界が、人間の間で設けられてしまっている。
人間どうしの間にある「国境」という境界の図。医療サービスが整っている国と整っていない国が国境で分断され、国家の枠を超えた協力ができていない。基本的な医療サービスさえ受けられない人が何億人もいる。
信頼の欠如による不和の図。科学の専門家・公的機関・国際協力という3つへの信頼が損なわれ、国際システムは指導者不在のもと、外国人嫌悪や孤立主義、不信に陥っている。
戦いの勝敗をわけるものの図。不和と不信ならコロナウイルスの勝利、信頼と団結なら人類の勝利。緊密な国際協力が生じれば、将来現れるあらゆる病原体に対しての勝利にもなる。
図解の奥付。スライド制作は図解総研。

人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結を

(原題:In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership)

著
ユヴァル・ノア・ハラリ

訳
柴田裕之

図解
近藤哲朗,沖山誠