国立研究開発法人国立環境研究所と協働で、気候変動がもたらす世代間・地域間の不平等を見比べるための「気候衡平性ダッシュボード」をつくりました。ダッシュボードは2025年10月30日に、同研究所のサイトのコラムで公開されています。
背景
気候変動では、温室効果ガスを多く出してきた国や世代と、その被害を大きく受ける国や世代が一致しません。作物の収量や経済的な損失など、特定の観点から不平等を示すデータやグラフはすでに数多くあります。一方で、それぞれは問題の一つの断面なので、全体として何を捉えればよいかは見えにくいままでした。
国立環境研究所からの依頼は、気候変動に関する地域間・世代間の不平等を可視化することでした。これを受けて図解総研は、専門家でない人も全体像をつかみ、考えはじめられる入り口をつくることを目標にしました。
つくったもの
気候衡平性ダッシュボードは、中心から外へ広がる円形の図です。人の活動から始まる因果関係を4つの指標に整理し、比べやすいようにすべて1人あたりの値にしています。
- GDP(経済の規模)
- 温室効果ガス(GHG)の排出量
- 被害額
- 対策費用
4つの指標を矢印でつなぎ、矢印の上には「GDPあたりのGHG排出量」「GHG排出量あたりの被害額」のような、指標どうしの相対的な値を色つきの円で載せています。排出量の大きさだけを見ると大きな国が目立ちますが、相対的な値を並べると、排出が少ないのに被害が大きい国や世代があることが読み取れます。

ダッシュボードは30年ごとに区切った世代と、国ごとにつくれるので、同じ形のまま世代間と地域間の両方を比べられます。

図はどちらも、国立環境研究所、図解総研(2025)「気候変動に起因する世代間・世代内不平等の可視化」より(CC BY 4.0)
国立環境研究所のページでは、解説の動画、画像ファイル、スライド、テンプレートも配布されています。
進め方
はじめに、何をもって不平等とするのかを研究者のみなさんと議論し、論点を整理しました。専門家が重んじる正確さと、はじめて見る人への伝わりやすさのあいだで、どの情報を残し、どの情報の抽象度を上げるかを決めていきました。
形は、試作を見せながら議論して決めました。四角形やダイヤモンド型、円の大きさだけで数値を表す案などを試しましたが、数値が読み取りにくかったり、因果関係が見えにくかったりしました。最終的に、中心の経済活動から外側の被害や対策費用へ波及していく様子を示せる円形の配置を採用しました。
この経緯は、図解総研の note の記事「専門的で複雑な世界に、構造を。「気候変動の不平等」を考える、対話の入り口となる図解とは」にまとめています。
概要
- 時期:2025年10月30日に公開
- 図解総研の役割:不平等の捉え方の整理、指標の構造化、ダッシュボードのデザイン、公開用の画像の作成
- 成果物:気候衡平性ダッシュボード(図、スライド、テンプレート)
- 公開先:国立環境研究所の社会システム領域のコラム
- 作成メンバー:国立環境研究所(田崎智宏、林岳彦、尾上成一、山口臨太郎)、図解総研(沖山誠、近藤哲朗、中森源、五十嵐達海)
- クレジット:国立環境研究所、図解総研(2025)気候変動に起因する世代間・世代内不平等の可視化