2026年4月、ある大手メーカーグループの新入社員合同研修で、会計の地図を使ったオンライン研修を行いました。グループ各社の新入社員が、自宅や事業所からつないで受ける、半日(5時間)の研修です。この研修のために、ある会社の3年間を選択しながらたどる教材を新しくつくりました。

背景

依頼は、グループの新入社員全員に、会社の数字の基本を身につけてもらうことでした。配属先も、これまで学んできたことも違う人たちが、オンラインで一斉に受けます。会計の知識は前提にできません。

そこで、ねらいを次の4つに置きました。

  1. 会計への苦手意識が下がっている
  2. 損益計算書だけでなく、貸借対照表を含めた全体が見える
  3. 現金が資産になり、売上と利益を生み、純資産に積み上がる流れを説明できる
  4. 事業の判断が、会社の将来の形にどう影響するかを思い描ける

つくったもの

ある会社の創業から3年間を追体験する、シミュレーション型の教材です。参加者は場面ごとに選択肢から1つを選びます。選んだ結果に応じて、画面の「会計の地図」のブロックが動き、損益計算書と貸借対照表が一緒に変わっていく様子を見られます。

講師用の画面。3年目 Q9「成長か安定か」で、左に現金・技術・設備、右に借入金・資本金・利益剰余金のブロックが1億円ずつ積まれ、借方13億と貸方13億が一致している。

  • 1年目:全員が同じ道すじをたどる練習の年です。会社の設立、借入、商品の仕入れと販売、広告、決算を扱います
  • 2年目:2つの選択肢から選びます。設備への投資と固定費を扱います
  • 3年目:条件のついた3つの選択肢から選びます。再投資、売上の拡大、利益の積み上がりを扱います

講師用の画面。3年目 Q9「成長か安定か」の3つの選択肢「A: 借入金を返済する」「B: 次世代技術に投資する」「C: 返済しつつ技術投資」が並び、Cには「条件: 現金5億以上が必要」と書かれている。

長い時間でも単調にならないように、年が進むごとに選択の幅が少しずつ広がる設計にしました。

教材はブラウザで動くものを自社で開発しました。参加者はパソコンやスマートフォンから開いて回答します。回答を集める機能も教材の中に入れ、会議ツールの投票機能を事前に用意しなくても進められるようにしました。講師用の画面と参加者用の画面を分けています。

「会計の地図」は、書籍『会計の地図』で紹介しているフレームワークです。図解総研は、会計の地図をゲームで学べるKaikeiも公開しています。

進め方

  • 2026年2月:相手先とオンラインで顔合わせをし、企画の構成案を出しました。社内でも企画を検討する会を開いています
  • 2026年3月:全部の問題とシナリオを一覧できる確認用のページをつくり、相手先に内容を見てもらいました
  • 前日と当日の午前:社内でリハーサルをし、画面の不具合を直しました
  • 当日:はじめに「会計の地図」の見方をレクチャーし、そのあと3年分のワークを進め、最後に3年間の変化をふりかえりました

講師は代表の近藤哲朗です。『会計の地図』の共著者である沖山誠らが、チャットで参加者への補足をしました。

概要

  • 実施時期:2026年4月
  • 形式:オンライン
  • 図解総研の役割:企画、教材の開発、講師
  • 成果物:シミュレーション型の教材(講師用・参加者用の画面)、レクチャーのスライド
  • 公開先:なし(社内向けの研修)