大手 IT 企業のデザイン部門に向けて、戦略マップを使った3時間のワークショップを行いました。代表の近藤哲朗が講師を務め、図解総研から2名で伺いました。

「Business Strategy Map 戦略マップ Ver.1」の全体図。紫の地の中央に戦略を分解した図があり、その外側をフレームワークの解説が囲んでいる。

背景

2025年1月に、図解総研のサイトから問い合わせを受けました。相手先のデザイン部門は、取引先との共創や事業の支援を仕事にしています。デザインに加えて、戦略やビジネスの領域の知見が要る場面が増えていて、実務で使える方法を集めたいという相談でした。

つくったもの

  • 5枚組のワークシート:競争戦略の選択、資金調達、投資配分、リスクへの直面、エンディングの5枚です。チームごとに1セットを使います
  • 講義の資料:戦略マップの考え方を説明するスライドです
  • 戦略マップのデータ:ワークショップに先立って、戦略マップの元のデータを Miro のボードの形で提供しました

「ワークで使用する資料」のスライド。戦略体験ワークシートとして、1 競争戦略シート、2 資金調達シート、3 投資配分シート、4 リスク直面シート、5 エンディングシートの5枚が並び、4と5には「あとで配られる」と書かれている。

題材には、フリマアプリの2社を比べた既存の事例を使いました。前の年に別の会社で行った戦略マップのワークショップと同じ題材で、そのときは戦略を選んで理由を説明するところまでのワークでした。今回はそこに資金調達とリスクを組み込み、選択の結果が出るゲームにしています。当初は相手先の事例に合わせる案もありましたが、準備の期間を考えて既存の事例で進めています。

ゲームの流れ

参加者は、ある年のフリマアプリの会社の経営者になります。先に市場に入っていたところへ、あとから強い競合が現れた、という場面です。チームで5枚のシートを順に進め、自分たちの選択がどんな結末につながるかを確かめます。

  1. 競争戦略を選ぶ:競合と戦うか、戦わないかを決めます。選べるのは、コストリーダーシップ、差別化、集中の3つです
  2. 資金調達の大きさを決める:大きく調達するほど投資に使えるポイントは増えますが、あとで直面するリスクの回数も増えます
  3. 投資を配分する:広告、採用、顧客層の拡大、手数料の引き下げ、UX の5つに、手持ちのポイントを割り振ります。ポイントは使い切る決まりです

投資配分シート。広告、採用、顧客層の拡大、手数料の引き下げ、UXの5つの問いに、それぞれ2・1・0のポイントを割り振る

  1. リスクに直面する:あみだくじでリスクを引きます。あみだの線は、ほかのチームに引いてもらいます。どこに投資していたかによって、避けられるリスクと避けられないリスクがあります
  2. 結末を知る:残ったポイントと選んだ投資をたどると、市場のトップに立つものから撤退するものまで、複数の結末のどれかに行き着きます

4枚目と5枚目のシートは、ワークの後半に配ります。どんなリスクがあり、何を選ぶとどの結末になるのかは、選び終えるまで分かりません。

同じ結末でも、はじめに選んだ戦略によって評価が変わります。小さな市場で確かな地位を築く結末は、集中戦略を選んだチームにとっては狙いどおりですが、市場全体を取りにいく戦略を選んだチームにとっては、戦略と違う場所に落ち着いたことになります。結果の良し悪しではなく、選んだ戦略と、資金の集め方、投資の配分がつながっていたかを、チームでふりかえるためのつくりです。

進め方

1月と3月に相手先と打ち合わせをしました。当日は、講義のあと、チームに分かれてワークシートを1枚目から順に進めました。1枚目から3枚目は最初に配り、4枚目のリスクのシートと5枚目のエンディングのシートは、ワークの後半に運営側から配る形にしました。ワークは、選んだ戦略と資金の集め方、投資の配分によって、最後の結果が変わるつくりです。

「戦略体験ワーク」のスライド。競争戦略15分、資金調達15分、投資配分25分、休憩、リスク直面25分、エンディング15分の5つの段階と、それぞれでチームが行うことが書かれている。

終わったあとに参加者へアンケートを取り、結果を相手先と共有しました。題材を変えて試したいという回答が多く集まっています。

概要

  • 実施時期:2025年3月(3時間)
  • 形式:会場でのワークショップ
  • 図解総研の役割:ワークショップの企画、ワークシートと講義資料の作成、講師と当日の運営
  • 成果物:5枚組のワークシート、講義の資料、戦略マップのデータ
  • 公開先:ワークショップの資料は公開していません